今回は実際にスピニングリールのメンテナンスに挑戦!前回に引き続き、リールのオーバーホール専門ショップ「Selffish(セルフィッシュ)」の鈴木氏にレクチャーしていただきます。
▼シリーズ記事はコチラ
【連載#1】プロが語るリールメンテナンスの基礎
【連載#2】実際にリールのメンテナンスをやってみよう!スピニングリール編
【連載#3】実際にリールのメンテナンスをやってみよう!ベイトリール編
ステップ1:水洗い
セルフィッシュ 鈴木氏(以下鈴木氏):まずリール全体にシャワーで冷水をかけるのですが、なるべくリール内部に水が入らないようにドラグやハンドルのネジはしっかりと締めてください。
ツリグラスタッフ ぐっちー(以下ぐっちー) :重点的に洗うべき部分はあるのでしょうか?
鈴木氏:ラインとラインローラー、そしてハンドルノブですね。ラインは塩や汚れを拾ってきますので軽く揉みながら洗ってください。ラインが必ず通るラインローラー、魚を掴んだ手で触るハンドルもしっかりと洗ってください。淡水使用後は水洗いは必須ではありませんが、ひどく汚れている場合は洗ったほうが良いと思います。
ステップ2:分解・乾燥
鈴木氏:タオル等で水を拭き取った後、軽くハンドルを回して水気を飛ばします。この後陰干しするのですが、なるべく分解してから乾燥させたほうが良いと思います。そうすると細部まで水分が飛ぶので。乾燥時間は1時間を目安にしてください。
ぐっちー:なるほど。
鈴木氏:ちなみに、乾燥時にスプールは逆さにして置いたほうがいいです。上向きに置くと上部に溜まった水は抜けないので。
ぐっちー:うわ。今までスプール上向きに置いて乾燥してました 笑
鈴木氏:細かい話ですけどね 笑。スプール上部に海水が入ってなかったら上向きでも問題ありません。
ステップ3:シリコンジェルで全体を拭く
鈴木氏:オイル・グリスを注油する前になるべくやったほうが良いのがシリコンジェルでの清掃です。
ぐっちー:シリコン?
鈴木氏:シリコンジェルを使うことで細部をキレイに清掃することができます。かつ、表面に被膜を作るのでリールが汚れにくくなります。オイルを使用しても良いのですが、ベタついてしまうのでシリコンのほうがベターです。セルフィッシュの Selffish SiG というシリコンジェルでリールハンドルのネジ部分を拭くと・・・ほら。
ぐっちー:うわ!めっちゃ汚い!
鈴木氏:意外と目に見えない汚れが隠れているんです。シリコンジェルでリールを全体的に拭き上げてください。細部は綿棒を使ったほうがいいです。ちなみに私のオススメはジョンソン&ジョンソンの綿棒。きっちり綿が巻いていて毛玉が出にくいので。
ぐっちー:ジョンソン&ジョンソン 笑
鈴木氏:シリコンの難点は、表面がツルツルになるのでリールを落としてしまうかもしれないこと 笑。お好みに合わせてリールのどの部分に使用するか決めてみてください。
ステップ4:オイルをさす
鈴木氏:次にベアリングにオイルをさしていきます。オイルは少量させば大丈夫です。今回はハンドル部分からやっていきます。
ステップ5:グリスをさす
鈴木氏:おさらいですが、グリスは「圧力を伴って接触する箇所」に塗っていきます。ちなみにグリスは筆で塗ったほうが圧倒的に塗りやすいです。
鈴木氏:以上がスピニングリールのメンテナンス手順となります。慣れたらすぐにできるようになりますよ。
ぐっちー:サボったらリールの寿命も縮みそう・・・。
鈴木氏:この一手間をやるかやらないかで1年後のリールの使用感が本当に大きく変わってきます。釣行前にハンドルを回してみて「シュッシュッ」と異音がするようならばメンテナンスをしてみてください。最低限、オイルを注油するだけでも効果があると思います。
ぐっちー:これからは最低でも海水使用後は メンテするようにします・・・。(反省)
次回:「実際にメンテナンスをやってみよう!ベイトリール編」に続く・・・
◆◇セルフィッシュ 鈴木 康哲(すずき やすのり)氏 プロフィール◇◆
2003年から中古釣具店で買取したリールの分解・清掃経験を積む。整備したリールは通常の倍の速度で売れていく経験から、多くのアングラーはリールの違いを感じ取っていることを実感しセルフィッシュを開店する。現在まで分解清掃・整備したリール は約20,000台。作業実績から得た経験から、どのリールはどこが傷みやすいなどの特性を統計的に把握し、セルフィッシュでは予防的視点をもって作業を行っている。現在は「1つのリールを長く使い続けて欲しい」 との想いで日々努力を重ねている。