【連載#3】実際にリールのメンテナンスをやってみよう!ベイトリール編

今回はベイトリールのメンテナンスに挑戦!前回に引き続き、リールのオーバーホール専門ショップ「Selffish(セルフィッシュ)」の鈴木氏にレクチャーしていただきます。

▼シリーズ記事はコチラ
【連載#1】プロが語るリールメンテナンスの基礎
【連載#2】実際にリールのメンテナンスをやってみよう!スピニングリール編
【連載#3】実際にリールのメンテナンスをやってみよう!ベイトリール編

★準備するもの

・歯ブラシ
・オイル
・グリス
・タオル
・シリコンジェル(お好みで)
・綿棒

※機種によっては注油するポイントが違う場合があるので注意。今回は例でバスワンXT150を使用しています。

ステップ1:水洗い

セルフィッシュ 鈴木氏(以下鈴木氏):スピニングリール同様水洗いをするのですが、その前にラインの先端をシールで固定します。スプールを取り出すときにラインの引っ掛かりを防ぐためです。上のラインが下のラインに巻き込まれないので、実使用時のライントラブルを防止する効果もあります。

鈴木氏:この状態でドラグをしっかり締めて水洗いをします。淡水使用時はライン汚れが無ければ水洗いは必須ではありません。スピニングリール同様、お湯ではなく冷水で優しく洗い流してくださいね。

ステップ2:分解・清掃

鈴木氏:リールを洗い終わったら、工具を使わないでバラせるところまでバラします。

ベイトの場合はパーツ点数もそれほど多くないので分解も容易

鈴木氏:次にブラシで細部の汚れを取っていきます。淡水使用時でも藻がこびり付いている場合があるので念入りに。ベイトの場合は乾燥時間はとらずにブラシで水分を飛ばしていってもOKです。

毛先が柔らかめのブラシで隅々の汚れを落とす
※ツルツルした触り心地が好きな方はシリコンジェルを使用して磨くものオススメ

ぐっちー:具体的に汚れが溜まりやすいポイントは?

鈴木氏:レベルワインダーですね。ラインが通る道なのでものすごく汚くなりますので重点的に磨いてください。ちなみにスピニングリールと同じくシリコンジェルを使って磨くのもオススメです。被膜ができて汚れにくくなります。

ステップ3:オイルをさす

鈴木氏:余分な水分、汚れを落としたらオイルをさしていきます。

ぐっちー:具体的にはどの部分にさせばいいでしょうか?

鈴木氏:基本的に「部分的に接触はするが圧力はかからず高速での動きを必要とする個所」です。(連載:第1回参照)具体的にはリールの機種によっても微妙に違ってきます。今回メンテをするバスワンXTの場合、まずはスプールを支える軸受けから順にオイルをさしていきます。

①サイドカバーのベアリング(スプール本体軸受けのベアリングにも注油)
②ピニオンギア外周のベアリング(金色の部分がピニオンギア)
③ハンドルノブの中
④ハンドルノブの付け根
⑤レベルワインダー両側のベアリング(機種によっては無い場合も)
⑥スプールシャフト
※ピニオンギアの中に入り、高速回転するため

ステップ4:グリスをさす

鈴木氏:スピニングリール同様、ネジ山がある部分は極力グリスを塗ったほうが動きがスムーズになります。ネジは締めすぎると動かなくなってしまうので気を付けてくださいね。

①ネジ山(本体側のネジ山に塗ってもOK。どちらかには塗ったほうがよい。)
②スプールピン
③レベルワインダーのギア部(余分なグリスは綿棒などで拭き取る)

鈴木氏:注油が完了したらパーツを組み上げます。その後にハンドルを回してオイルを馴染ませてください。これでメンテナンスは終了です。

ぐっちー:一見複雑に見えるベイトリールですが、注油の場所・手順さえ覚えてしまえば意外と簡単そうですね。

鈴木氏:慣れれば手軽にできちゃうのがメンテンナンスです。この一手間さえかければ2年間に1回のオーバーホールくらいで済むかと思います。

ぐっちー:ちなみに丸型の場合は注油する場所が違うのでしょうか?

鈴木氏:ベアリングが入っている箇所は同じなので、基本的に注油するポイントは丸型でも同じです。スプール・ピニオンギア・ハンドルシャフトの両端、そしてハンドルノブには必ずベアリングは入ってますので。上位機種の場合はレベルワインダーの両側に入っていたりしますね。

ぐっちー:つまり基本さえ覚えればどんなリールにも応用がきくわけですね。

鈴木氏:最初は他の人のやり方を参考にしてやってみてください。セルフィッシュのホームページにもメンテナンス方法は説明していますので、初めての方は参考にしてみて下さいね。

セルフィッシュ推奨のメンテナンス方法はこちら

全3回でお届けした「リールメンテナンスの基礎」。一見とっつきにくいイメージがあるメンテナンスですが、一度覚えてしまえば案外簡単にできるもの。何より、自分で手入れをすることによってリールに愛着が湧きますよね。愛着を持った道具で釣りをすると普段の釣りをより一層楽しむことができるのではないでしょうか?

今回取材にご協力いただいたセルフィッシュ鈴木さんは初心者にも親身になって疑問に答えてくださいました。「これからリールのメンテナンスを始めてみたい」「オーバーホールに出してみようかな?」とお考えの方は本当にオススメのショップです!(取材させていただいた贔屓目なしに)

お気軽に始めることができるリールのメンテナンス、是非皆さんもやってみてくださいね。

▼前回までの記事はコチラ
【連載#1】プロが語るリールメンテナンスの基礎
【連載#2】実際にリールのメンテナンスをやってみよう!スピニングリール編

◆◇セルフィッシュ 鈴木 康哲(すずき やすのり)氏 プロフィール◇◆

2003年から中古釣具店で買取したリールの分解・清掃経験を積む。整備したリールは通常の倍の速度で売れていく経験から、多くのアングラーはリールの違いを感じ取っていることを実感しセルフィッシュを開店する。現在まで分解清掃・整備したリール は約20,000台。作業実績から得た経験から、どのリールはどこが傷みやすいなどの特性を統計的に把握し、セルフィッシュでは予防的視点をもって作業を行っている。現在は「1つのリールを長く使い続けて欲しい」 との想いで日々努力を重ねている。

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