「東京湾のスズキ・シンポジウム あれから20年」とは?
2018年10月14日(日)東京夢の島マリーナで「東京湾のスズキ・シンポジウム あれから20年」が開催されました。東京湾のスズキについて様々な目線から真剣に考える場、それがスズキ・シンポジウムです。NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(以下JGFA)が主催となり20年ぶりに開催されました。
パネラーとして様々な知見を持った方が登壇。
【パネラー一覧(敬称略)】
(1)釣り人:徳永兼三(JGFAアンバサダー)ボートフィッシング
(2)釣り人:村岡昌憲(JGFAアンバサダー)ショアフィッシング(岸から)
(3)漁業者:大野和彦・宗形健一郎(船橋市漁協・大傳丸)
(4)研究者:工藤孝浩(日本魚類学会)
(5)行 政:櫻井政和(水産庁)
(6)チャーターボート:森聡之(JGFA評議員・釣魚保全委員会)
「シーバス」の名称で釣り人の人気ターゲットとなっているスズキ。水銀汚染問題で漁獲制限が解かれた直後の東京湾では、遊漁船がスズキで埋め尽くされていたそうです。東京湾がシーバス釣りのメッカと言われているのも頷けます。
ところが現在の東京湾のスズキが置かれている状況が変化していることが分かりました。
東京湾のスズキは減っているのか?また釣り人の体感は?
統計調査データを参照すると東京湾のスズキの漁獲量は減っています。しかし漁獲量とはあくまでも「漁獲された数」であり、スズキの数が減ったと断定することはできません。その年の獲れる量をみながらターゲットを随時変えていくため、漁獲量だけでは傾向考察に留まります。
それでは釣り人の体感値としてはどうなのでしょうか?
パネラーの釣り人・村岡さんや遊漁船関係者の方は「明らかに以前よりも釣れなくなった」という共通認識を持っていました。この数十年間で飛躍的にタックルが進化し、ルアーの飛距離が伸びました。その恩恵により「釣果を安定させられるようになったが、以前ほどの数は釣れなくなった」と感じる方も多いのではないでしょうか。
やはり私たち釣り人とスズキの距離は開きつつあるのかもしれません。
釣り人として私たちができること
「釣れなくなったスズキ」を前に、釣り人の私たちができることは何でしょうか?未来の釣り場を守るためにも具体的に何をしていったらいいのでしょうか?
・小さな個体はリリースする
・食べる分だけ持って帰る
・キャッチ&リリースの場合は最大限魚にダメージを与えないように考慮する
これはスズキに関わらずあらゆるターゲットに対して言えることではないでしょうか。
参考として未来の釣り場保護のため、JGFAが行っている取り組みを2つ紹介します。
「バッグリミット」の設定
【バッグリミットとは?】
「バッグ(魚を入れる袋)、リミット(制限)」ということで漁業や釣りにおいては、対象となる水産資源の量を維持するために、持ち帰る尾数、サイズを制限することをいいます。
特に成長の遅い根魚などに対しては非常に効果的な取り組みです。
「タグ&リリース事業」
釣った魚にタグをつけて再放流し、次回その個体が釣れたタイミングで移動経路・成長速度等の情報を取得することで、将来の資源確保に役立てるプログラムです。JGFA会員のみ参加可能なプログラムですが、ご興味がある方はこちらをご覧ください。
今回のシンポジウムは未来の釣り場を守るために我々釣り人が最低限のマナーと魚への慈しみを持つことの大切さを考えさせられる場となりました。
パネラーの方の発言がJGFAにてまとめられていますので、ご興味がある方はご覧ください。
画像・資料引用:JGFA